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黒白時代編 其の弐拾四
にしび
〜西陽当たる場所〜
【1996年】
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無人と化した第3調整室の
壁から顔が生えたとか。
製造ラインの管理者に問いただしても
そんなものは知らぬの一点張りで
見に来ようともしない。
従業員もみんな薄気味悪がって
仕事に身が入りゃしないし。
でもまあ、悪いやつじゃあなさそうだ。
ただ生えてるだけで、
これといって実害はないし。
それになんだか
気持ちよさそうに微笑んでるのさ。
それでまあみんな、
そのうちに消えてくれるだろうとか、
こっちもだんだん慣れるだろうとか思って、
何の対策もないまま
放っておかれてるってわけさ。
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