連作 玉砕パフェ
ぎょくさい         
〜玉砕パフェ 1〜

【1994年10月30日】
 1)
大学三年のとき、授業をサボりました。
最初で最後でした。
理由は「ジャンボパフェ」。ただそれだけ
でした。
大きいだけではなく、そのパフェを30分
で完食できれば2万円もらえるという夢の
ようなパフェだったのです。
挑戦の機会は水曜日の午後だけでした。

戦場はごく普通の喫茶店でした。入り口に
完食に成功した人たちの写真が貼ってあり
ました。
中学生くらいの女の子の写真もあり、少し
安心しました。
カウンターでエントリーを済ませ、ちょっ
と時間もできたので外で時間を潰すことに
しました。
そこで目に入ったのが、ケンタッキーフラ
イドチキンでした。
「ちょっとしょっぱいもの食べて行こうぜ」
私は若かった。そして相変わらず愚かでした。
しょっぱいものを食べれば甘いものがたく
さん食べられると思ったのです。
そのころの私にとってケンタはご馳走です。
でもすでに2万円を手に入れた気になって
いた私は調子に乗ってハンバーガーを頼ん
でしまいました。
それがどんな結果を招くとも知らずに・・・

                (つづく)

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