連作 玉砕パフェ
ぎょくさい         
〜玉砕パフェ 3〜

【1994年10月30日】
 3)
トイレで吐いている友人を廊下で待ちながら
敗北の余韻に浸りました。

途中、偶然出会った知り合いの車で送っても
らいながら敗北を噛み締めました。

どこだかよく分からない駅で降ろしてもらい
ながら敗北を呪いました。


しばらく後、なかじまよういち邸を訪れた私
の手にはペンと紙がありました。
1日で三枚の絵を下書きも無しに描きなぐり
ました。
わけのわからない報告をしながら猛烈な勢い
でペンを走らせる姿は
不気味だったと思います。

タイトルはひとつしかありませんでした。

「玉砕パフェ」。

              (高橋 仁 談)

高橋殿、ありがとうございます。 そうですね。確かにあの日、パフェがどうしたのと口走りながら、 それこそゲロでもぶちまけるような絵を描く彼は、 いつにもまして奇っ怪な様相でした。当時のなかじまは、 たかがおやつで何を騒いでおるのだと呆れるばかりでしたが、 この文章を読んでようやく、彼らの味わった、嘔吐感を伴う 屈辱が迫力をもって伝わってきました。
やがて画家は錯乱の時期を乗り越え、画風を磨き、 この経験を『甘味地獄』 という怪作に結実させるのです。

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